最近では、アニメ化された小説も多く、広く人気ジャンルとなったライトノベルですが、なんでライトノベルって広く人気になったの?と思う人もいるでしょう。
広く人気というのは、多くの人、つまり一般的に人気になったということです。
発行部数が1000万部を超える人気ライトノベルも少なくありません。まだまだ発行部数では漫画には敵いませんが、良い勝負をしているのではないでしょうか。
ライトノベルの発行部数ランキング上位と同程度の発行部数の漫画を比べると、ライトノベルがどのくらい人気なのか分かると思います。
「転生したらスライムだった件」の関連書籍を含めたシリーズ累計発行部数は2023年2月時点で4,000万部です。関連書籍を含めていますが、4000万部とします。
人気漫画の発行部数
- 遊戯王 4000万部
- シャーマンキング 3800万部
- クッキングパパ 3600万部
- うる星やつら 3500万部
- 黒子のバスケ 3100万部
- 宇宙兄弟 3100万部
- スパイファミリー 3100万部
- ブルーロック 3000万部
- ゴールデンカムイ 2500万部
いかがでしょうか、知っている漫画が1つはあるのではないでしょうか?
発行部数から分かるようにライトノベルは一般的に人気となりました。
なぜライトノベルが一般的に人気になったのかを解説していきます。
小説家になろうやアルファポリス等の小説投稿サイトがライトノベルの裾野を広げカクヨムが地位を保証した
目次のタイトルが長くてどういうこと?と思われるかもしれませんが順を追って解説します。
ライトノベルは元々オタクっぽい人が読んでいた?
まずライトノベルについて、今でこそ一般的に読まれていますが、元々はオタクっぽい人が読む傾向にありました。(悪い意味じゃないです)
私が中学生の時なんかは、オタクっぽい子は文庫本を学校に持ってきて読んでいましたし、ライトノベルが好きな子たちが文庫本を片手に集まって話をしていたので、どちらかというとニッチなジャンルでした。2000年代のことです。彼ら彼女らは「とらのあな」の話もしていたので、まず間違いなくオタクだった思います。
(私も中学生の時に「とらのあな」に行ったことがあるのですが、店員さんに怒られたエピソードがあるのでいつか記事に出来たらなと思います。わら)
小説家になろうやアルファポリス等の小説投稿サイトがライトノベルの読者層を広げた
そんなオタクっぽい人に人気だったライトノベルですが、徐々に一般的に読まれるようになります。それを後押ししたのは、小説投稿サイトの普及です。
以下のグラフを見てください。これは小説家になろうに投稿された新規小説数に関するグラフです。
2004年のサービス開始から、新規小説投稿数が増加していることが分かります。前年の新規小説投稿数に比べて、2022年以外、毎年前年よりも新規小説投稿数が増えていることが分かります。
(例えば2006年の前年比新規小説増加数は、2005年の新規小説投稿数が1000で2006年の新規小説投稿数が2000とした場合、1000になります)
以下は、グラフ「小説家になろう新規小説数について」の元データ
新規小説数 | 前年比新規小説増加数 | |
2004年 | 279 | 0 |
2005年 | 1,375 | 1,096 |
2006年 | 3,881 | 2,506 |
2007年 | 8,168 | 4,287 |
2008年 | 9,534 | 1,366 |
2009年 | 11,861 | 2,327 |
2010年 | 19,102 | 7,241 |
2011年 | 28,215 | 9,113 |
2012年 | 37,948 | 9,733 |
2013年 | 45,225 | 7,277 |
2014年 | 56,157 | 10,932 |
2015年 | 65,767 | 9,610 |
2016年 | 72,958 | 7,191 |
2017年 | 82,673 | 9,715 |
2018年 | 85,263 | 2,590 |
2019年 | 87,267 | 2,004 |
2020年 | 95,575 | 8,308 |
2021年 | 96,893 | 1,318 |
2022年 | 90,426 | -6,467 |
このデータから分かるように、毎年利用者が増えていると考えられます。そして重要なことは「読み手だけではなく、書き手も増えている」ということです。
小説投稿サイトが普及する前は、小説を書く人は限られていました、なぜならプロを目指している人以外、小説を書いても披露する場所がありません。
しかし、小説投稿サイトは、小説を手軽に書きやすい機能が揃っており、小説を手軽に読みやすい機能が揃っています。小説本当は書いてみたかったんだよな~、ネットなら誰か見てくれるかもな~、という気持ちで小説を書いてみる人が増えました。
こうして、利用者が増え、これまでライトノベルに関心がなかった人もライトノベルを見る機会が増えました。
ラノベ界の巨人KADOKAWAがカクヨムの運営を始めた影響
こうして、一般的に読まれるようになってきたラノベですが、こう思う人もいます。
「とは言え素人が書いてるんでしょ?」
そうです、あの全人類の敵「とは言え族」の出現です。
彼らはことあるごとに「とは言え~」、「とは言え~」、「とは言え~」と呪文のように唱えるので大変です。
しかし、救世主KADOKAWAさんが登場したことで「とは言え族」は口を閉じました。
どういうことかと言うと、KADOKAWAは、1988年に「富士見ファンタジア文庫」と「角川スニーカー文庫」というライトノベルレーベルを初めて創刊し、ライトノベルというジャンルを確立させました。
KADOKAWAは出版社大手、ライトノベル最大手で大企業です。
そんなKADOKAWAが「カクヨム」という小説投稿サイトの運営を開始したということは、小説投稿サイトの地位が確立したということです。
KADOKAWAさん「ん?なんか文句ある?」
とは言え族「いっいえ、KADOKAWAさんがそう言うのなら・・・」
と言った感じです。
こうして、名実ともに小説投稿サイトは小説業界を代表するサービスとなりました。
カクヨムがさらなるラノベ人気に拍車をかけた
カクヨムの運営開始はさらなるラノベ人気に貢献しました。
まずは、以下のデータを見てください。
先ほどは、小説家になろうのみのデータを出しましたが、今回はカクヨムも含めています。カクヨムは2015年から運営が開始され、2016年に新しく投稿された小説数(新規小説数)は2万を超えています。それにも関わらず、小説家になろうの新規小説数も前年よりも増えています。
これが何を意味するかというと、小説投稿サイト同士で競合が見られないため、小説投稿サイト全体の利用者数が増えているということです。
これはやはりKADOKAWAの影響力が強かったと考えられます。
例えば、次のような人たちが利用を開始したと考えられます。
- そもそも小説投稿サイトを知らなかったがKADOKAWAのおかげで知り利用してみようと思った人
- 小説投稿サイトを知っていたが興味がなかった。しかしKADOKAWA運営ということで利用してみようと思った人
- 素人が書くものに興味がなかったが、KADOKAWA運営ということで利用してみようと思った書籍派の人
他にも理由があると思いますが、これまで利用していなかった利用者層が利用を開始したのは間違いないと考えられます。
2015年の新規小説数は2つのサイトを合わせても66,000ですが、2022年には170,000です。
利用者が増えれば当然ライトノベルが好きな人も増えますし、どこかで会話が聞こえてきたりもするでしょう。
この様に、カクヨムは小説投稿サイトの地位を向上させただけではなく、小説投稿サイトをより多くの人に利用してもらうことに成功し、ライトノベルの人気に貢献したと言えます。
これまでの解説が、なぜラノベが今人気なのか?の大きい要因です。
ライトノベルが広く受け入れられるようになった要因
アニメは深夜に放送されることが多くなった
昔に比べて、アニメは夜遅い時間に放送されるようになりました。人気アニメ、ジャンプのアニメも深夜に放送されています。同じ時間帯に放送されているラノベアニメを見ることは普通の感覚になってきていると考えられます。
昔は、深夜アニメと言えばラノベアニメみたいな感じでしたから。
今は、アニメ=深夜というイメージに変わり、深夜=ラノベアニメという連想にならないことがライトノベルが受け入れられるようになった要因の一つだと考えられます。
ライトノベルは読みやすい・速く読める
ラノベは会話が多いので読みやすいです。基本的には会話を追っていけばどんな展開なのかを理解することができます。
例えば、小説家になろうで何か作品をパソコンで開いてもらい、「Ctrl + F」を押します。
画面右上に入力バーが表示されるので、「←この括弧を入力すると「に色が付きます。
Enterキーを押すと、次の「に移動します。
これは会話だけにフォーカスできる方法ですが、読んでみると意外と速く読めて、展開も理解できるのではないでしょうか?
これは体感してもらうために例として挙げましたが、読みやすいし、速く読めるというのは、昨今のニーズに合致していると考えられます。
アプリゲームも皆楽をしたいため自動操作が多くなりましたし、時短のためにドラマを2倍速で読む人も多くなりました。
このようなことから、ライトノベルは昨今のニーズを満たしていると考えられます。
ライトノベルは目や脳が疲れない
Youtubeや漫画、ゲームと比べると、文字だけのライトノベルは疲れません。情報量が少ないからです。絵による描写を理解する必要も、動画という動きを見る必要も、音を聞く必要もありません。つまり目や脳が疲れにくいという特徴があります。
ライトノベルは会社でも読める
例えば、30代、40代となると会社では役職に就くようになります。やはり役職に就くと部下もできるし、下からの目を気にするものです。
たとえお昼の時間に、スマホで漫画を読んでいたとしても見られたくないと思う人はいるはずです。しかし、文字なら問題がありません。なんか文字読んでるなと思われるだけで済みます。
さいごに
ラノベが人気になった理由は他にも色々あると思いますが、大きい要因と少し変わった視点から解説をしました。なるほどな~と思っていただけたら幸いです。
とは言え、今後ラノベはどうなっていくのやら。
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